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【解説】異なる方式との共存に配慮したIEEE策定の標準規格とは

「HD-PLC」の国際展開を加速させるIEEE P1901(米国電気電子学会)によるPLC標準規格のベースライン技術方式としての承認。その承認が業界にインパクトをもたらした最大の理由は、PLCの各種規格をつなぐ明確なルールを設けた結果、既存のHD-PLC方式と異なるIEEE方式との共存性が確保されたことにある。

CESのHD-PLCアライアンスのブース

CESのHD-PLCアライアンスのブース
PLC標準規格のベースライン技術として承認されたことはメインステージや受付などで紹介されていた

PLCには「HD-PLC」をはじめ複数の規格があるが、現状は異なる規格の機器同士をネットワークで結んでもデータをやり取りすることはできない。他の規格のPLC機器が出す信号を、ノイズと解釈してしまうからだ。そこでIEEEは2005年6月、PLCの標準化を進める作業部会「P1901」を設置し、標準規格の策定を行ってきた。

一方でHD-PLCアライアンスのメンバーであるパナソニックとパナソニックコミュニケーションズは、他のPLC規格を採用するメーカーなどと共同で、2006年6月にPLCの標準化を推進する団体CEPCA(Consumer Electrics Powerline Communication Alliance)を設立。IEEEに先駆けて標準規格案をまとめあげて、IEEE P1901に提案した。この提案が今回承認に至ったという流れなのである。

規格を認識させる信号で互いの存在を認識

標準規格では、PLCでやり取りするデータの一部に、どのPLC規格の機器が発したデータなのかを識別できる信号を組み込むことを定めている。PLCアダプターなどの機器は、この識別信号、つまり「自分はこの規格に沿って作られた機器ですよ~」という宣言を定期的に発信する。ネットワークにつながっているPLC機器は、ネットワーク上を流れてくるデータを眺めていて、自分とは違う規格の識別信号が入っているデータを見つけたら、別規格のPLC機器が存在していることを知るわけだ。すると、次に互いに共存モードに自動的に移ってお互い干渉し合わないよう通信を始める。これにより、ユーザーはIEEE P1901準拠のPLC機器であれば、規格の違いを意識せずに安心してネットワークに接続して利用できる。

この仕組みは、家庭内のネットワークだけでなく、光ファイバーやADSLなどのように屋内を出てアクセス回線の代わりに電柱につながっている電力線を通じてPLCを使うような時代が来た場合にも効果を発揮する。屋外と屋内ではネットワークが異なるため、両者をうまく接続させる必要があるからだ。異種のネットワークを接続可能にする今回の標準規格は、PLCの規格間だけでなく屋外と屋内の接続も原理的には可能にする。

PLCをインターネットのアクセス回線として利用する場合、屋外と屋内で異なるネットワークの接続が必要になるが、標準規格はこの接続も可能にする

そのほか今回の標準規格では、「HD-PLC」はじめ現状のPLC機器との互換性も確保された。互換性の点では「HD-PLC」も他のPLC規格も同レベルということになるが、「HD-PLC」が採用する通信方式「WaveletOFDM」は、他の規格に比べてPLCで送るデータに変換する時に機器にかかる負荷が小さい。そのため「HD-PLC」は高速化と機器の小型化を進めやすい点が特徴だ。

標準化を担当したIEEE P1901は今後、約1年をかけて仕様の細部を詰める。早ければ2009年末にも、ほぼ確定した仕様が「IEEE 1901」のドラフト版として公開されると見られる。これに前後して、実際に互換性を確保した部品や機器の登場も予想され、PLCは本格的な普及への階段を一つ登る。

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