電力線を利用するデータ通信である「HD-PLC」には、さまざまなメーカーが将来性に期待してビジネスを展開し始めている。中でも力を注いでいるのがパソコン周辺機器大手のアイ・オー・データ機器だ。業界で注目を集めるずっと前からPLC(Power Line Communication)に注目してきた同社が、なぜ「HD-PLC」(高速電力線通信)を選んだのか。ユーザーにどんな環境を提供しようとしているのか。細野昭雄社長に聞いた。
会社概要
株式会社アイ・オー・データ機器はPC周辺機器メーカーのパイオニアとして、PC周りのユーザーの悩みを解決するために先進的な製品の開発と幅広い品揃え、マルチベンダー対応力を生かしてIT利用環境に最適な製品・ソリューションを提供している。
また、PC周辺で培った技術を生かしデジタル情報家電周辺機器を開発、品揃えも拡大中である。
●——御社ではPLCという仕組み自体に、早くから関心を持たれていたそうですね。
細野: はい。PLCの研究を始めたのは2005年頃からです。当社は無線LAN関連商品も販売していますが、 市場の急激な伸びは期待できそうにありませんでした。また、家屋の構造によっては、無線LANが安定的に使えないケースもあります。最初は、PLCが、そうした無線LANの弱みを補完する存在になると考えていたのです。
●——PLCには複数の規格がありますが、「HD-PLC」を採用した理由を教えてください。
細野: 実を言うと最初から「HD-PLC」に決めていたわけではありません。自社で研究してみると、PLCは間違いなく普及すると確信しましたが、どの規格を採用するかについてはかなり悩みました。
しかし、最終的に「HD-PLC」で行こうと決めたのは"お客様に信頼性を提供できる"と考えたからです。こうした周辺機器の規格を普及させるには、誰かが先頭に立って互換性を確保し続けるために面倒をみる必要があります。「HD-PLC」以外は、旗振り役が海外の企業で、細かなバージョンアップ情報は届けにくいと考えられました。そうしたことがあると、完全には互換性が保たれなくなり、やがて混乱が起きるかもしれません。「HD-PLC」は日本発の規格であり、互換性を重視するという方針が明確だったので、お客様に安心して提供できると考えたのです。
●——「HD-PLC」対応製品の販売状況を教えてください
細野: 2006年末に最初の製品として「HD-PLC」対応アダプターなどを発売して以来、順調に推移しています。意外だったのは、ノイズフィルター内蔵のOAタップがとても売れたことです。お客様からの引き合いが多く、発売からしばらくはモノが足りない状況が続き、「なぜもっと多く作らなかったのか」と担当者を叱咤(しった)したぐらいですから。
ノイズフィルターは、PLCの通信を損なう可能性のあるノイズを家電製品から出さないようにするためのものです。そのフィルターが売れているということは、PLCに対するお客様のニーズが高いことの現れであり、本格的な普及への手ごたえを感じています。
| ページトップへ | “つながらない”はあり得ない |








