●——なるほど、接続する機器が膨大な数になるからこそ、ユビキタス社会では一つひとつの消費電力が重要になり、そこに「HD-PLC」の優位性があるというわけですね。
小林: さらに言えば、「HD-PLC」のセキュリティ設定の容易さもポイントと言えます。特に無線LANは商品によって一般の方には難しいセキュリティ設定や、パソコンでの操作も必要になる場合があります。このように技術的な知識や操作が必要では、ネットワークに接続することができる便利な家電製品を利用できないユーザーも出てきて、ユビキタス社会が秘めているさまざまな可能性が十分には現実のものにならないと思うのです。
例えば、2個ペアのPLCアダプタースターターキットは既にセキュリティ設定済みなのですぐに使用可能です。さらに、PLCアダプターを追加する場合でもアダプターのボタンを押すだけで、機器の間でやりとりされるデータのセキュリティを設定できます。無線ではないので、外部の不正アクセスからも守ることができます。より簡単に使い始められることは、より多くの人がユビキタス社会の恩恵にあずかれる可能性を持っていると言えますよね。
もっとも私たちは、「HD-PLC」が無線LANに完全に取って代わるとは思っていません。携帯型ゲーム機などのように無線LANの方が適している利用シーンもありますし、実際「HD-PLC」と無線LANを組み合わせた機器を開発中のメーカーもあります。「HD-PLC」は無線LANと共存しながら、ネットワークへの入口を拡大していくための強力なツールなのです。
幅広い世界へ広がる「HD-PLC」の恩恵
●——ネットワークへの接続にパソコンが不要になるということは、これまでになかった応用も出てくるのではないでしょうか。
小林: そうです。「HD-PLC」の応用で、特に効果が期待されているものに飛行機と自動車があります。というのも、機内や車内には既に電力線がはりめぐらされているので、「HD-PLC」を使えば簡単にネットワーク環境が実現できるからです。
飛行機や自動車へのネットワーク環境整備は、機体や車体の軽量化にも貢献します。飛行機や自動車で音楽や映像を流したりするのに使っているケーブルも、「HD-PLC」なら電力線一本にまとめられる可能性があるからです。機体や車体が軽量化すればそれだけ燃費も良くなり、地球環境に配慮した飛行機や自動車を実現することができます。家庭やオフィスにとどまらず、あらゆるシーンでネットワークによる利便性と環境保護の両方を追求できる、それが「HD-PLC」を通して「グリーンユビキタス」の実現に貢献できるという意味なのです。HD-PLCアライアンスでは、「グリーンユビキタス」実現に向けて、メーカーや販売店などが業界の枠組みを超えて相互に協力し、お客様へ新しい付加価値を提供していきたいと考えています。
このように「HD-PLC」は省エネや省資源だけでなく、今後は電力の「見える化」や電力制御など、エネルギーコントロールなどの分野にも展開し、可能性を広げたいと考えています。
● 「HD-PLC」はネットワーク社会を家電製品だけにとどまらず、住宅設備や交通インフラにまで広げる可能性を持っている。2本の指で支え持っているのが、心臓部である「HD-PLC」モジュールと呼ばれるチップ。
略歴
小林英次 HD-PLCアライアンス 会長
東京都生まれ。パナソニック コミュニケーションズ PLC標準化・アライアンス推進室長。米国にてデータ機器、電話・FAX・PBXの商品・マーケティング担当。帰国後、IPカメラ、ドアホン、PLC事業を担当。07年9月、HD-PLCアライアンスの発足にともない会長に就任。
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