米国などで「Acoustic Research」ブランドの高級オーディオ機器などを開発・販売する米Audiovoxは、2008年10月にPLCアダプターを内蔵したデジタルテレビ用リモート接続装置「HDP100」を米国内向けに発売した。チューナーやDVDプレーヤーが再生する映像を、「HD-PLC」を利用して離れたところにあるデジタルテレビで表示できるようにする機器だ。
HDP100は、デジタルテレビなどの標準的な接続規格であるHDMI(High-Definition Multimedia Interface)でやりとりされる映像コンテンツやデータを、「HD-PLC」の技術を使って電力線経由で送受信する機器。チューナーやDVDプレーヤーにHDMIケーブルで接続するトランスミッターと、テレビとの間をやはりHDMIケーブルで接続するレシーバーの2台がセットになっている。それぞれを家庭のコンセントにつなぐことで、チューナーやDVDプレーヤーをテレビに直接つながなくても、映像を楽しむことが可能になる。
なぜこうした機器の必要性がでてきたかというと、居室が広い米国の家庭では薄型テレビを壁面にスッキリ配置したいというニーズがあるからだ。特に薄型で壁掛け可能なテレビならば、チューナーやDVDプレーヤーをテレビの下に置く必要はなくなるため、テレビ周りがすっきりし、薄型テレビの特徴である省スペース性のメリットを最大限に享受できる。
HDMIはパラレル方式注)でデータ転送を行うこともあり、チューナーやDVDプレーヤーとテレビを結ぶ標準的なケーブルでは長さに制約がある。むやみに長くすると、ハイビジョン映像をきちんと送ることができない場合があるのだ。高性能で長いケーブルを使えば配置の自由度は上がるが、高価なものになってしまう。こうした理由から、薄型テレビに近い場所にチューナーやDVDプレーヤーを配置するのが一般的である。このため、HDMIの無線化も進められているものの、開発・普及についてはまだこれからの市場である。また、使用が予定されているミリ波の電波は直進性が強く、見通せない場所に配置した機器の間では通信できない場合がありえる。
そこでチューナーとテレビの間を「HD-PLC」を使って接続することで、ケーブルの制限からユーザーを解放しようというのが、このHDP100というリモート接続装置の狙いだ。例えば、CDやDVDを整理収納している本棚の近くにDVDプレーヤーを設置する。このDVDプレーヤーをHDP100のトランスミッターに接続する。テレビはレシーバーに接続し、その間は「HD-PLC」を使って電力線で接続しておけば、コンセントのあるところならばどこでも自由に、テレビやチューナーなどのAV機器を置くことが可能になる。
HDP100のレシーバーにはAV機器各社のリモコンに対応した受光部を備えている。この受光部をテレビの近くに置いておけば、離れた場所に置いたチューナーやDVDプレーヤーへのリモコン操作も、「HD-PLC」のネットワークを介して行える。具体的には、わざわざDVD プレーヤーやチューナーの場所に向けてリモコンを操作しなくても、今までと同じようにテレビの方に向けてリモコンを操作すればよいわけだ。
現状販売は米国内だけだが、価格は399ドルという。
注)パラレル方式:複数のデータを一度に転送できる方式。データを一つずつ送るシリアル方式に比べて高速だが、データを同期させる必要があるためケーブルを長くすることは難しい。








